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お茶とまちづくりを考えるNPO法人です。


by ochaji
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雨の日つれづれ

渡邊正治です。
 ひと雨、ひと雨ごとの暖かさ、、、春が待ち遠しい。今日は朝から雨、外の仕事が出来ないので、お茶の火入れでもやるか、、、、
 昨秋10月、良く伸びた茶樹の柔らかい芽だけを摘んで釜炒り茶を作り、冷蔵庫に保管してあった。新鮮なさわやかな香りを出来るだけ残すために、釜炒り温度を若干低くしたので青い香りが少し残っている。私はこの青葉アルコールの青臭さが好きなのだが、専門家の評価としては失格らしい。
雨の日つれづれ_d0022550_10434490.jpg釜の温度を180~190度にして、改めて火入れを行った。よく攪拌しながら混ぜていると、さわやかな緑の香りはやがて甘くて香ばしい香りに変わってくるところで火入れを終了した。
どのあたりで終了するか、火入れ温度は?時間は?、、、難しいものである。雨の日つれづれ_d0022550_10471931.jpg
久しぶりに私の秘蔵の備前焼きの茶器で、この釜炒り茶を淹れてみる。
湯冷ましは4年前に姫路城のフリーマーケットで見つけて買ったものである。その銘を解読して一年後にやっと作品のルーツにたどり着いた。備前伊部市の大手窯元「小西陶古」の初代陶古の作品であった。雨の日つれづれ_d0022550_110743.jpg
 二代目陶古さんに見てもらったところ「父の作品です。少なくとも50年以上昔のもの、よく壊れずに残っていたものですねえ」と感慨深く、手で撫ぜながら見入っておられた。店の従業員や大勢いる陶芸職人を呼んできて「見て御覧、、焼き物は使えば使うほど美しくなるのよ」と。
 急須は備前で細工物を作れば右にでる人はいないと言われる陶芸家「小山一草」の手捏ねの
作品である。実に見事な美しさ、味わい深い。伊部市のあちこちの店を探して、小山一草のギャラリーで見つけたものである。小山一草さん自身が備前焼の楽しいお話をしてくれて、登窯も見せてくれた。
 「 「藤原 啓」や「金重陶陽」、「伊勢崎 淳」のような人間国宝の備前焼陶芸家はたいへんだよ。死ぬまで名前に値する作品を焼き続けなきゃなんからなあ~。俺なんか、そこまでいかねえから、毎日飲んだくれて楽しく造れる。でも、もう年で体力も弱って、一年に一度しか窯に火入れは出来なくなった。6月の窯だしの時なんか、俺がじっくり見ないうちに、業者が群がって窯から勝手に持って行っちまう。だからあんまり良いのは残っていねえ~。でもこの急須は良いよ。俺は細工ものでロクロを使わねえから、少ししか出来ない。この急須も手捏ねなのでロクロの急須の10倍以上の値段になってしまう。申し訳ないねえ~。この湯冷まし、俺のと似てるなあ、俺の真似したんじゃねえかなあ~、何!初代陶古の作品? ウン 俺のもののほうが良く出来てる。俺の湯冷ましも持っていけ~」
 数年に一度は伊部市を訪れて備前焼の花瓶や茶器、お皿、鉢などを求めたいものである。(お金があれば、、、、、、)
 釜炒り茶には、備前焼の茶器がふさわしい。
by ochaji | 2006-01-31 11:34 | ■ 理事・会員の日記